アクセシビリティ試験支援ツール COB-CHAの使い方

2021年06月29日 更新 | タグ: アクセシビリティ

COB-CHA(コブチャ)とは

COB-CHA: COllaBorative CHeck tool for Accessibilityの文字と、お茶のアイコン。緑茶っぽいが昆布茶であり、湯呑みの中にチェックマークがある。

COB-CHA (COllaBorative CHeck tool for Accessibility) は、ウェブアクセシビリティ確保のプロセスの中にある試験・検証に用いることができる、Google Spreadsheet向けのアドオンです。JIS X 8341-3:2016(WCAG 2.0)、WCAG 2.1、Trusted Testerの達成状況を記録し、集計することを助けます。

インストールまで

新規Google Spreadsheet文書を作成します。

メニューの「アドオン」から「アドオンの取得」を選択します。

新規Google Spreadsheetの画面。「ファイル」「編集」などのならびの「アドオン」「アドオンを取得」を選択している

Google Wordspace Marketplaceの検索で「cob-cha」を検索します。

Google Wordspace Marketplaceのモーダルウィンドウ。「cob-cha」の検索結果として一件表示されている

「インストール」します。

Google Wordspace Marketplaceのモーダルウィンドウ。インストールというおおきなボタンがある

「COB-CHA のインストールを開始するには権限が必要です。」で「続行」してください。ここでうまくいかないときには、いちどGoogleからサインアウトし、Google Chromeを再起動してみてください。

「インストールの準備」のモーダルウィンドウ。「キャンセル」と「続行」のボタンがある。

COB-CHAを使うアカウントを選択します。

「アカウントの選択」のモーダルウィンドウ。Googleにログインしているユーザ一覧が表示されるので、どのユーザのアカウントにCOB-CHAの利用を許可するのか選択する。

「COB-CHAがGoogleアカウントへのアクセスをリクエストしています」で「許可」をしてください。ここで求めていることは、COB-CHAに、以下の挙動を許すことになります。

「COB-CHAがGoogleアカウントへのアクセスをリクエストしています」のモーダルウィンドウ。COB-CHAの行う動作が列挙されている

「COB-CHAをインストールしました」と出たら、完了です。メニューの「アドオン」「COB-CHA」で「Getting Started」あるいは「コントロールパネルを表示」を選んでください(「Getting Started」と表示されている場合、有効化ののち、再読み込みが必要な場合があります)。

「COB-CHAをインストールしました」のモーダルウィンドウ

試験・検証の準備

フォルダを作成

試験・検証のまとまりごとにGoogle Driveにフォルダを作るようにしましょう。COB-CHAは、試験対象のHTMLを実際のウェブサイトから取得し、試験時点のHTMLをGoogle Driveに保管しようとします。また、試験対象のページ及び問題のある箇所のスクリーンショットを登録した場合、これもGoole Driveに保管します。致命的ではないのですが、このフォルダに複数の試験の情報が入ってしまうと、始末が悪いので、分けておいた方が良いです。

ヘルプを見てみる

「アドオン」「COB-CHA」「COB-CHAヘルプ」を見てみましょう。基本的な流れを確認できます。

シートの名前

COB-CHAが扱うシートは2種類あります。シート名の先頭に「*」があるシートは、集計結果であったり、一覧のシートです。こういったシートは、のちに説明する一括編集などの対象外です。逆に言えば、一括編集の対象になって困るシートには、シート名の先頭に「*」をつけるようにしてください。

試験・検証を行う

コントロールパネルを表示

「アドオン」「COB-CHA」「コントロールパネルを表示」で、「COB-CHAコントロールパネル」が表示されます。

「アドオン」「COB-CHA」の中に「コントロールパネルを表示」「COB-CHAヘルプ」「クレジット」「ヘルプ」の4つの項目がある

コントロールパネルは7つの領域に分かれています。各項目はおおむね手順の並びになっています。

1. 試験の方法を決定

ここで設定した内容によって、記録用紙の作成や集計が行われます。

「COB-CHAコントロールパネル」の中の「1. 試験の方法を決定」。ドロップダウンセレクトが4つ並んでいて、それぞれ「ja」「WCAG 2.0」「AA」「o/x」が選択されている。その下には「設定シートを生成」「追加の達成基準を設定」のボタンがある

Google Spreadsheetの言語を「ja(日本語)」と「en(英語)」から選択します。デフォルトでは、ブラウザの言語が選択されることになっています。

試験で使う規格(試験方法)として、「WCAG 2.0(JIS X 8341-3:2016)」「WCAG 2.1」「Trusted Tester」から選択できます。

レベルは「A」「AA」「AAA」から選択できます。「Trusted Tester」を選ぶと、現状では「AA」固定になります。

記録する記号を選びます。「T/F/DNA式」と「o/x/-式」です。「T/F/DNA」は「True/False/Does Not Apply」の頭文字です。「o/x/-」は、「o(小文字のオー)」をマルと見做し、「x(小文字のエックス)」をバツとみなしています。

ここまで設定したら、「設定シートを生成」で、試験方法を記録しておきます。このシート(「*Config」)を作っておかないと、試験・検証の途中でブラウザを落としたり、Googleからサインアウトしたときに、同じ設定で試験・検証を続けられなくなります。

「*Config」シート。「1. 試験の方法を決定」で設定された内容が記入されている。言語はja、規格はwcag20、レベルはAA、記号はox、追加する達成基準として1.4.7が記入されている。

「追加の達成基準」を用いる場合は、「追加の達成基準を設定」してください。目標としている適合レベルより上の達成基準の一覧が表示されるので、選択をすると、「設定シート」に記録されます。

ここまでの作業を一番最初に行ってください。「追加の達成基準」をあとから足すのはたいへん面倒くさい作業になります。

2. 試験対象の設定

「COB-CHAコントロールパネル」の中の「3. 試験対象の設定」。「URL一覧のシートを生成」「URLごとの記録シートを生成」のボタンがある

URL一覧のシートを生成

まず「URL一覧のシートを生成」をしてください。「*URLs」というシートが作成されます。あらかじめ40までの番号が入っていますが、41以上の試験対象も設定可能です。41以降の番号については、自分でナンバリングしてください。ただし、Google Spreadsheetの仕様上100シートまでしか扱えないので、ご注意ください。

一覧シートを作成したら、B列に試験対象のURLを記入します。

「*URLs」シート。1列目は番号。2列目に「https://example.com」といったURLが記入してある。3列目は「一括処理の対象」として各行にoがある。

URLごとの記録シートを生成

一覧シートにURLを入力したら、「URLごとの記録シートを生成」をします。この機能を実行すると、指定されたURLからtitleを取得し、それぞれのシートを作成します。このtitleの取得にそれなりに時間がかかります。また、titleの取得と同時にHTMLもGoogle Driveに保管しています。このHTMLとtitleの取得が不要な場合は、URL一覧に記入の際、http/httpsスキーム部分をttp/tppsというようにしてもらうと、取得をスキップします。

URLごとの記録シートができると、試験・検証の準備完了です。

3. テンプレートを設定

一般的なウェブサイトには、ヘッダやフッタなど、しばしば共通の箇所があります。こういった共通の箇所についての試験を先に行い、記録しておくと、サイト内で一貫した記録を残すことができます。そういった記録をするのに、「テンプレート」が便利です。「テンプレート」の「対象シートに反映」を使うことで、試験・検証対象の全てのページの記録を一括でテンプレートと同じにすることができます。

「COB-CHAコントロールパネル」の中の「3. テンプレートを設定」。「達成基準」のテンプレートの操作として「『達成基準』シートを生成」「『達成基準』を対象シートに反映」のボタン。「実装チェックリスト」のテンプレートの操作として「実装チェックリストを選択」のドロップダウン「『実装』シートを生成」「『実装』を対象シートに反映」のボタンがある

テンプレート(達成基準)シートを作成

「1. 試験の方法を決定」で決定した内容でテンプレート(「*SC Template」)が作成されます。「追加の達成基準」も含まれています。

「*SC Template」シート。1.1.1、1.2.1などの達成基準が並んでいる。それぞれの達成基準は要入力箇所に背景色が施されている

テンプレート(実装)シートを作成

「1. 試験の方法を決定」で決定した内容で、実装チェックリストのテンプレート(「*ICL Template」)を作ります。

現時点では3種類のテンプレートを利用できます。

採用する達成方法を検討し、「除外」するか、行を削除するなどして実装チェックリストをカスタマイズしてください。独自の実装チェック方法を追加する場合は、既存の行を参考に、2列目に合否判定、3列目に除外チェックが来るようにしてもらうと、あとの集計がスムーズになります。

この実装チェックリストでも、達成基準のテンプレートと同様に、共通箇所の試験・検証結果をあらかじめ入力しておくことで、各ページに反映できます。

「*ICL Template」シート。1.1.1の実装チェック項目として「意味のある画像がある場合」「短い説明では同じ情報を提示できない画像がある場合(グラフや図表など)」などのチェック項目が並んでいる

4. 値の編集

「COB-CHAコントロールパネル」の中の「4. 値の編集」。「現在のシート」に対する捜査として「スクリーンショット追加」「すべて適合にする」のボタンがある。その下には「複数シート一括編集」として「行」「列」「値」の入力欄があり、「現在位置を取得」「対象シートに反映」のボタンがある

スクリーンショット追加

値の編集では、「URLごとの記録シート」にスクリーンショットを登録できます。対象のシートを開いているときに「スクリーンショット追加」してください。なお、対象以外のページでは、スクリーンショットのアップはできません。

すべて適合にする

「テンプレート(達成基準)」「テンプレート(実装)」「URLごとの記録シート」で、すべての達成基準を「適合(合格)」の状態にします。

複数シート一括編集

Microsoft Excelだと、複数シートを選択した状態で同一のセルを編集できますが、そのGoogle Spreadsheet版の機能のようなものです。なにか値の入力されているセルに移動し、「現在位置取得」してください。このとき、1つのまとまりであれば、複数行複数列の一括取得が可能です。一括編集の「行」「列」「値」の欄が埋まります。「全シートに反映」すると、当該セルの値が同じになります。表現を整えるときなどにお使いください、

5. 問題点管理

「COB-CHAコントロールパネル」の中の「5. 問題点管理」。「問題点を新規作成/編集」「このページの問題点一覧」のボタンがある

問題点を新規作成/編集

対象のサイト(アプリケーション)に問題点がある場合、この問題点を登録するシート(「*Issue」)を作成できます。いくつかの入力項目がありますが、それぞれの入力による機能的な作用はほとんどありません。自由に使ってもらって構いません。ただし「ページ」だけは、「どのページの問題か」を記録しているため、「このページの問題点一覧」で用いられます。

このページの問題点一覧

「URLごとの記録シート」をアクティブにしている状態で、「このページの問題点一覧」を見ることができます。各問題点に「ページ」が登録されている必要があります。

6. 集計

「COB-CHAコントロールパネル」の中の「6. 集計」。「対象ページごとの実装チェックを集計」「達成基準チェックを集計する」「実装チェックを集計する」のボタンがある

対象ページごとの実装チェックを集計

各ページで実装チェックを行った後、この操作を行うと、実装チェックリストの結果から達成基準の達成状況を集計します。

達成基準チェックを集計する

全ページの達成基準を集計します。「1. 試験の方法を決定」で設定した目標とする適合レベルに対して、満たしているかどうかを判定します。目標とする適合レベルがAAである状態で、Aを満たしている時には、「AA-(ダブルエーマイナス)」。AAを満たしていれば、「AA」と表示されます。

全ページの達成基準を一覧にした「*Result」シートと、合算をした「*Total」シートが生成されます。

実装チェックを集計する

全ページの実装チェックを一覧にしたシート(「*ICL Result」)を生成します。一覧にしているだけで、とくに集計などは行いません。

その他

「COB-CHAコントロールパネル」の中の「その他」。「『試験結果の表示』シートを生成」「記録シート削除」「全シート削除」のボタンがある

「『試験結果の表示』シートを生成」では、JIS X 8341-3:2016の附属書で求められている記載事項のテンプレートです。必要に応じて作成してください。

削除では「記録シート」のみか「*Config」まで含めた「全シート」を削除します。復活できないので、気をつけて扱ってください。

試験結果の公開

Google Spreadsheetの「ファイル」「ダウンロード」で「Microsoft Excel (xlsx)」あるいは「OpenDocument形式 (ods)」あたりでダウンロードすると扱いやすいと思われます。

「*Results」「*URLs」のシート間のリンクや、記録シートやテンプレートにのこっているWCAGの達成基準へのリンクは、Google Spreadsheet以外では無効になるようなので、適宜、微調整を行ってください。

「試験結果の公開」として最低限必要なのは、「*Report(試験について)」「*Total(達成基準チェックリスト)」「*URLs(試験対象のページ)」です。これらのシート以外については、より詳細な試験結果として公開したいという場合に、適宜残すようにしてください(「*Report」の内容は自分で埋めてください)。また「*xxx Template」は削除した方が良いでしょう。

以上

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